ＨＤＦの家　　「雑木林と語らう家」　　HDF-h

　土地探しから、長年の想いをつめこんだ家。洋服や靴にこだわりをもたれ、ものづくりの人のスピリットに探究心があるクライアントである。自然が豊かで伸びやかに暮らせる場所を希望され、山並みと田園の風景、雑木林に囲まれた敷地を見つけた。伊賀盆地の南、名張での豊かな自然にめぐまれた場所です。　　　　　　　　　緑の雑木林が栄える黒い外観の箱は、周囲の環境を活かす住風景をデザインしている。全ての窓から緑と語り合える空間をそこ此処につくる。室内は、暮らしの中で家族のつながり・気配を感じる空間構成になっている。家全体で、互いの存在を緩やかに感じられる見え隠れする空間である。その室から周囲に馴染む雑木林を再生する庭とのつながりは、木デッキテラスを介して大きく拡がり心地よい住まいとなる。　　　　　　　　　　　　　　住まわれてから２年、親戚・友人があつまる楽しく和やかな家になっている。

三重県名張市／木造2階建て／2014年竣工
家族：夫婦・子供1人
敷地：造成住宅地の端、雑木林と田園風景の中
[Ａ-collectin  No,18] [pen 理想の家 2015. 11.1号] 掲載
 

岳見の家　　　「緑につつまれた小さな家」　　 TAKEMI-h
　
　3人のお子さんが独立し家庭を持たれての2人暮らし（終の棲家）。子育てを終わった建て主は、“自分の生きた証“をつくって欲しいとの希望であった。
　10数年前に購入された敷地は長い間八事の街を歩いて探されている。閑静な住宅街の中で扇型をした起伏のある土地は、下り坂の道に面した人の目に入りやすい敷地である。この環境の中で生きた証となる「街のランドスケープ」をつくる。厳しい建蔽率や壁面後退、緑化地域指定のある法規制はデザインには幸いしている。傾斜している敷地に地階を埋め込んで建物を低く抑える。リビングダイニングは道路の向こうにある借景を連窓で望み、中庭の緑は大きな開口部から眺められる。埋め込まれた寝室と浴室からも身近に緑と触れ合える。コンパクトな建物は、周囲を自然に覆われた気持ちの良い住まいとなった。
緑に包まれた敷地は、内部から空気が流れ出し、また外の空間から内に流れ込んでくる、そんな空気の関係性をつくることを心がけた。日々の暮らしは爽やかな風のなか、木漏れ日の移りとともにゆるやかな時をかさねる。

　小さな家だからこそ味わえる庭とのふれあい。　
　緑の向こうに板張りの小屋として静かに建っている。

愛知県名古屋市／地下1階地上1階建て(コンクリート造＋木造24坪）／2010年竣工
家族：夫婦 60代　　
敷地：古くからの住宅地、起伏、閑静な土地
中部建築賞 2012年／すまいる愛知住宅賞 2012年
[家家] （人人ネット 本） 掲載

 

西春の家　　　「デッキテラスのコートでつながる家」　　　NISHIHARU-ｈ

　南側の８階建てのマンションから護られたコートハウスである。敷地は両親の既存家屋がある土地の一部に家族が新しく住まうというものである。都市的な密集した環境の中で、日常はデッキのコートハウスで光・風・緑とふれあう空間である。コートを挟みながら部屋がつながり家族がふれあうコミュニティをつくった。引戸を全開放して内外が一体になる。ここで生まれた統一された空間では、季節や天候によって変化する想像以上の空気を体験できるであろう。コートハウスの開放感をもった、自然と心が豊かになる住空間である。

愛知県北名古屋市／木造2階建て一部鉄骨／2002年竣工
家族：夫婦・子供2人
敷地：商業ゾーンの大通りから1本北、両親の敷地内に新築
中部建築賞 2003年／すまいる愛知住宅賞 2003年
[新建築・住宅特集 2003.7月号] 掲載