INTRODUCE ARCHITECTS
「裕建築計画」
uu_architects
時とともによりそう家つくり
今つくる喜びと、少し先の未来へよりそう住宅の提案をします。
実績紹介
Refill―詰め替える
かつて繁華街であった名古屋市今池、以前ほど活気がないが、昔から住んでいる人が多く、下町の雰囲気が残っている。施主は、戦前からこの地に住んでいる両親の面倒を見るために、隣に家を建てることにした。この辺りは、商業地域の防火地域、耐火要求はコスト的にも苦労する。施主はこれからも長くこの地にいることを望んでいたし、耐火に大きなコストをかけるのであれば、長く住まい続けることをコンセプトに考えた
長く住まうためのアイディア 「詰め替える」という考えかた
100年先までを考えてみた。何世代が住み変わっていくなかで、それぞれが、その世代らしく住まうように変わって行きたい。
そのため、耐火構造のコンクリート壁を100年使い、壁の内側は木造とし、すまいに合わせ変えていくことができるようにした。耐火構造となると施工のハードルがあがるが、木造であれば、大工の力で改修でき、すまいが柔軟に変えて行ける。また、コストのかかるコンクリートは100年使えるので、金銭的な面でもこれからの世代にやさしい。
詰め替え用コンクリート壁
外壁1時間耐火構造の準耐火ロ-1を採用し、外周はコンクリートの壁を2層分打ち上げる。外枠の面積は73㎡。延べ床100㎡以下の2階建てプランを考えると、必然的に外部ができ、それが中間領域(庭)となる。
コンクリート壁の開口は、どの住まいでも採光が確保できるよう、シンプルに開けた。
設備配管の躯体埋設は一切せず、開口や地面の少し上に開けた貫通口を使うことにした。この納まりであれば、将来の改修工事も、コンクリート躯体を傷つけることなく施工できる。地震力、風圧はコンクリートが負担するため、木造部分は構造負担がなく、柔軟なプランが計画できる。
La Cabotte
la Cabotte(カボット)とは、フランス・ブルゴーニュ地方にある石積み小屋で、ブドウ畑を開墾して出た石を積み上げた農作業小屋のこと。
名古屋市新栄にあるビストロ。自然派ワインとフランス料理のお店。
店主はフランスで修行、ジビエ料理を得意とし、愛知の足助町の猟師とともに狩猟に参加、自ら、イノシシやシカの解体も手掛ける。
料理と建築
カボットで料理を頂いていると、旬の食材(素材)たいていは、市場で旬だから余っているモノを手間と時間をかけて、素晴らしい料理にしてくれていることが分かる。いい素材とは、それは高価で高級なものばかりではないと感じる。
では、名古屋でla cabotteをつくるとしたら、店主の料理のような素材をいかした建築にしようと考えた。
コンクリートは廃棄処分待ちの捨て去られる型枠を集めてきてコンクリートを打設した。捨てる型枠材を集めたり、型枠として組む事や打設の手間は増えたが、存在感のある荒々しいコンクリートが出来あがった。この仕上がりは、素材を上手く料理できたと思う。
環境と性能 必要最小限
店主にとって、お店と棲家が生活の場です。併用で建築した時から、その建物は人生と大きく重なります。環境性能も料理も極力シンプル、何もしない
壁の断熱はないが居住環境は問題ない。冬は、熱容量の高い薪ストーブを使って蓄熱量の多いコンクリートに熱を蓄えさせて、寒い日でも快適に過ごせる。夏は、日射角を計算した軒で直射日光を遮る。屋根面には断熱材を施し、真夏の日射を受けても、屋内に熱が伝わらないようにする。また、夏の西日は隣地建物が遮ってくれる。床も壁も装飾なしのコンクリートであるため、躯体への埋め込み配管はしない。最短距離で隣地側の西外壁面の外に出し、工場のように露出配管とすることでメンテナンス性能を維持している。
捨てるものを使ったり、覆い隠さない建築のなかで、住む方の生き方やセンスが見える余白のある建築となった気がします。
工場から住宅
名古屋市中部、築35年ほどの町工場のリノベーション。かつて依頼主のご両親が営まれていた鉄工所が工場としての役割を終え、息子夫妻家族の住まいとして生まれ変わる。鉄骨造2階建ての建物の1階は階高5m、南北14.7m×東西9.7m無柱の大きな空間。2階は事務所でいくつかの部屋に仕切られていたが、間仕切りを解体するとこちらも勾配屋根のおおらかな空間が現れた。住宅には無い大きなスケールとしっかりした躯体、油の染み付いた柱やデッキプレートが鉄工所として使われてきた歴史を物語っている。それらはこの場所がもつ大きな資産であり、これからも活かされ、利用してゆく。
工場の大きなボリュームを使って立体的に
普通なら油にまみれた工場を撤去して新しい住宅を建てるのでしょうが、思い入れもあるこの工場から住宅へ転換することで、一般の住宅では味わえない大きなボリュームがあります。また、しっかりしたフレームと外壁や屋根は十分な性能を維持しています。解体費用などもリノベーションの費用に注ぎ込めばより豊かな空間ができると考えました。
立体的に広がるプラン
閉鎖的な工場の南のワンフレームを減築して、大きな開口を確保しました。切り開いた部分は、スチールサッシで覆われた通り庭のようなバッファゾーン、北の庭と螺旋階段へのアプローチとなっています。バスルームの箱と書斎の箱は、元の建築から離れたように置くため、ロフトのような隙間が生まれ、その脇を螺旋階段で2階へ進むと大きな屋根の下に小さな小屋が2つ置かれています。スチールサッシの通り庭と入れ子の子供室のバッファゾーンによる温熱性能維持
性能の役割分担
工場の躯体はしっかりしていてそのまま利用、外壁と屋根(外側のスキン)は風雨を防ぎ事の特化、内側のスキンに囲まれたLDKや個室は、現代の断熱性能になっています。バッファゾーンで1・2階は、おおらかにつながることで、温熱環境はバージョンアップされ、閉鎖的だった工場をおおらかに開いたプランにできたと思います。
オフィス紹介
裕建築計画
浅井裕雄HIROO ASAI
1964年愛知県生まれ 1989年中部大学大学院建設工学専攻前記 修了(工学修士)1989年株式会社国分設計 1995年金城学院大学 非常勤講師 1997年 裕建築計画 設立 2003年 有限会社裕建築計画として法人化 2006年 中部大学 非常勤講師 2009年 第41回 中部建築賞 2011年 第43回 中部建築賞 2013年 第45回 中部建築賞 2013年 第25回 すまいる愛知住宅賞 名古屋市長賞 2014年 第21回 愛知まちなみ建築賞 2014年 LIXILデザインコンテスト2013 銅賞 2014年 住まいの環境デザインアワード2014 2013年 FM岡崎 住まい塾講演 2014年 建築協会東海支部 講演「重ねる建築」 2014年 北日本新聞 住まいのリノベーション講座「時と共に重ねる家づくり」 2015年 建築総合展 家づくり講演 2014年 第21回JIA東海学生卒業設計コンクール審査委員 2015年 第22回JIA東海学生卒業設計コンクール審査委員 2016年 第1回CERAMIC LIFE DESIGN AWARD審査委員