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2019.01.26
Detail daily life of the architect
KAZUNORI MUKAI
敷地のポテンシャル(可能性)を最大限引き出す設計 向井一規建築設計工房
人人net は、建築家が集まっているグループです。
建築家との住まいづくりの魅力の中で、敷地環境を最大限に活用する事例を案内します。
1、建築家とつくる家づくりの魅力
オリジナルの住まいづくりができる *好みの建築家とともにつくる住まいづくりの楽しみ
2、住まいの設計において、敷地条件とは何か
イ:大きさ ロ:形 ハ:方位 二:ロケーション (隣家、周辺、遠方 などの敷地環境)*建築家の腕の見せ所
3、敷地環境(ロケーション)の読み取り
・建て主の要望や家族構成などの条件を踏まえ、敷地のポテンシャル(可能性)を最大限に引き出す設計 を考察する
・建築家の感性・センスによってプランの軸となる条件を読み取る
テーマ:プライバシイを護りながら自然とふれあう有意義な暮らし
4、ロケーションとは
A:密度の高い都市的な環境 > プライベート空間を内包する
B:自然豊かで牧歌的な環境 > 屋外の環境・借景を捕りこむ
C:自然豊かな環境での住宅団地(A . Bの中間) > 近隣との関係をつくりながら借景を捕りこむ
■事例
A:密度の高い都市的な環境:プライバシイを護りながら自然と語らう
1:垂坂山の家 /三重県四日市市 「木デッキのコートハウス」
夫婦+柴犬、木造2階建て
・木デッキを護る壁でプライバシイの高いコートと緑の憩い
・開放されたリビングダイニングと木デッキとの一体的な空間で愛犬と共にくつろぐ
●ロケーション・プロセス
古くに区画された住宅地で築30年のメーカーの家に住んでいた。(よくある真ん中に玄関・ホール・階段で2階寝室へ。ホール奥に洗面、浴室、トイレ。右へ居間とダイニングキッチン。左に続きの和室はクローゼット化していた) 50代後半のご夫婦が柴犬を飼われて、その愛犬と静かに住まう家を計画。私があるセミナーでお話ししたコートハウスに共感されて設計が始まる。 東南の隣に母宅がありお母様の気配を感じられる。
周囲の目を気にせず愛犬が内外を問わず伸び伸びと過ごす。 好きなワインを飲みながらゆったりと暮らしたい。 西にある垂坂山に沈む夕陽を2階から借景として臨む。
2:岳見の家 /名古屋市瑞穂区 「周囲に雑木林の庭+近隣の借景」
夫婦、地下1階コンクリート造+地上1階木造 *傾斜地
・建ぺい率・壁面後退・緑化規制などの法的条件をクリアする設計からデザインした雑木林の庭
・道路の対面側の借景を望むダイニングからの水平窓
・既設の塀と植栽を活かした隣家との間の庭を臨む
●ロケーション・プロセス
名古屋駅から東へ電車で20分くらいの閑静な住宅地。 10年ほど前に土地探しをして購入。 建築基準法的に厳しい規制、建ぺい率30%、敷地境界線から1.5m・道路境界線から2mの壁面後退。 緑化規制で周囲に植栽をする地域。 これらの条件をポジティブに利用した。 コンパクトな建築の周囲を雑木林の植栽で覆い適材適所の窓から臨む。東西で3mの高低差のある傾斜地の敷地の特徴を活かすデザインでコンクリートの地下1階地上1階の建築。 ご夫婦の終の棲家として設計。
B:自然豊かで牧歌的な環境 :屋外の環境・借景を捕りこみながら伸びやかに暮らす
3:HDFの家 /三重県名張市 「田園風景・雑木林・盆地の山並みの借景+庭」
夫婦+子供1人、木造2階建て
・周囲の雑木林と広がる田園風景、そして遠くにある伊賀盆地の山並みを臨む
・各室からそれぞれの風景をピクチャーウインドウで切り取る
●ロケーション・プロセス
地元のマンションに住まいながら一緒に土地探し。 隣家がなく視界が拡がる環境を求められる。 豊かな里山の風景を気に入られて廻りの借景を取り込むデザインを設計。 LDKのワンルームでありながら個々のスペースからそれぞれのピクチャーウィンドウを設ける。 近くの雑木林、少し下がった土地にある田園風景、遠くに拡がる伊賀盆地の山並みは、季節毎に豊かな表情を見せてくれる。 この地が好きで、よりスローライフのすごし方を求められての住まいづくりを探求した。
C:自然豊かな環境での住宅団地(A.Bの中間) :近隣との関係をつくりながら借景を捕りこみながら豊かに暮らす
4:青海の家 /愛知県常滑市 「海・山・お城の借景+芝生の庭」
夫婦+子供1人、木造2階建て
・伊勢湾・三重の街並み・鈴鹿山脈を臨む2階のダイニングキッチン・リビング
・海と反対にある山・お城を臨むリビングダイニング・キッチン
・敷地の四隅に造った庭(前の庭・海の庭・城の庭・山の庭)
●ロケーション・プロセス
土地探しをしながら常滑にアパート住まいをして7年。 伊勢湾の海を臨める敷地を探す。 お城のある山の隣にようやく希望の敷地を購入。 ひな壇状の土地であるが隣家の屋根もあるため、2階に生活の中心となるLDKとユーティリティを配置、1階に個室と洗面・浴室を配置。 東側に山、北西に伊勢湾のロケーション。 北側の風景は順光になるため景色(空・海)が美しく見える。
ダイニングの大きなFIX窓から海を臨む。 東の山・お城はリビングからの直角窓から四季の自然(桜・ツツジ・新緑・紅葉・・)を感じる。 周囲の借景を活かしながらの間取りと開口部の配置。 ロフトからの屋根に上がるとソラテラス。ここからは贅沢な絶景が臨める。
■まとめ
敷地の最大限の可能性を使って設計できれば、体感する空間の大きさは変わります。 毎日の暮らしも変わります。
機能性を高めながら心の豊かさをもつ住まいづくり・暮らしは、人人ネットの建築家であれば可能です。
向井一規建築設計工房 2019.1.26