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2019.05.26
Detail daily life of the architect
HIROO ASAI
ほそば囲い
浜松市で住宅のプロジェクトがスタートしました。
「遠州のかっら風」といって12月から3月まで北西の強い風が吹きます。
Weather spark ウェブサイト
この風は、北西の季節風が日本海を流れる暖流である対馬海流の水蒸気を含みます。湿った空気は日本アルプスにあたり日本海側に雪を降らせます。そして、乾いた風は遠州に向かって吹きつけます。
そのため遠州の凧揚げの祭りは有名です。
遠州のからっ風を防ぐ暮らしにも工夫があり、この地域の住宅には生垣が多く存在します。
「ほそば囲い」と言います。今でも浜松のいたるところに確認できます。
「ほそば」はイヌマキのことをいい 細い葉のマキノキです。このほそば、住宅の敷地にぐるりと囲うように植えられています。綺麗に手入れされているほそば囲いは刈り上げの効いたダンディな姿です。
実によくできていいて、遠州のからっ風は ほそばにあたり 葉や枝のしなりにより風の力を弱くしています。ほそばの裏側ではほぼ無風とか。硬い壁では風の力を増幅してしまうので、地域防災装置のようなものです。
樹木による防風林は日本のあちこちに存在しますが、近年、家のデザイン、暮らし方の変化で世話をする生け垣は少なくなりました。
しかし、目隠やセキュリティのために高い塀をつくることは想像よりハイコストですべての素材はメンテナンスフリーはありえません。自然の力で自立して、風よけ、目隠し、防犯と少しの維持管理で手に入ります。地域全体でほそば囲いを維持することは、その地域全体にメリットがあることです。
今一度、昔の考えを見直してみては。