BLOG
2019.06.11
Detail daily life of the architect
KAZUNORI MUKAI
敷地のポテンシャルを活かす設計・続編1 向井一規建築設計工房
前回ブログ(2019.1.26)にあげさせてもらったテーマ
「敷地のポテンシャルを活かす設計」の続編をお話しさせてもらいます。
敷地のロケーションは設計条件の多くの部分を決めてしまうとも言えます。
人は環境からつくられる。と考えています。
その敷地環境から生まれる住まい環境は、人の日常生活においてとても大切な物だと思います。
今回も前回と同じく、A B C のタイプ別に 事例をお話しします。
A:密度の高い都市的な環境 > プライベート空間を内包する
B:自然豊かで牧歌的な環境 > 屋外の環境・借景を捕りこむ
C:自然豊かな環境での住宅団地(A . Bの中間) > 近隣との関係をつくりながら借景を捕りこむ
続編1は、
A:密度の高い都市的な環境 > プライベート空間を内包する から2例です。
1、平出の家 /名古屋市西区 「露地状の中庭・母屋とアトリエ」 敷地:w8.5m × d20m = 170㎡(51坪)
夫婦、木造2階建て+コンテナ12m 1F:14+9坪 2F:8坪 延べ:31坪
・母屋とアトリエ(コンテナ)の狭間に造った露地状の中庭
・コンテナを背景にした植栽を楽しむ母屋のダイニングキッチン
●ロケーション・プロセス
名古屋駅から北へ電車で15分くらい行った古くからの住宅地。
実家のお父様と一緒に住むために建て直すことになったご夫婦の終の棲家。
砦のようにコンクリートの壁で覆われた中庭に右端のアプローチから入る。
海上用コンテナと母屋のハザマにできた露地状の庭に自然の豊かさをデザイン。
グラフィックのデザイナーであるクライアントのアトリエとして12mのコンテナを使い壁面を背景に植栽をデザイン。
2、西春の家 /北名古屋市 「木デッキのコートハウス+両親宅の庭」 敷地:w8m × d24m = 192㎡(58坪)
夫婦+子供2人、木造2階建て+一部鉄骨造(1階駐車場) 1F:30坪 2F:6坪 延べ:36坪
・南側の商業エリアから護る木デッキのコートハウス
・ピロティの駐車場を抜けて玄関門扉>階段の上にエントランスコート
・リビングダイニングの両側にあるコートで水平方向に開放的な暮らし
・デッキの木格子戸を開けると両親宅の庭に拡がるコート
●ロケーション・プロセス
名古屋駅から北へ電車で20分くらい行った住宅地。
ご主人の実家の東側に間口8m、奥行き24mの長い敷地をすべて使い、木デッキコートを建築内に2つ配置。
この2つのコートをつなぐようにLDを両面ガラスの引き戸のオープンエアにする。計画当初は南に閉店したパチンコ店があり倉庫として貸していた。
大きな幹線道路に面した商業エリアのため将来商業施設が建つと想定してプライバシイの護れるコートハウスに。竣工した2~3年後に7階建てのマンションが建つ。高さは想定外であったが、ピロティの上のこども室のボリュームのおかげで生活のプライバシイは保てた。
西側のご両親の庭に面して木格子戸を設置して開閉できる。木格子は、光・風は入るが芝の庭からLDは見えない(ルーバー現象を計算)>自然を守りながらプライバシイを護る。
■まとめ
以上のように、中庭のデザインもクライアントの目的・嗜好によって様々のように思います。
それぞれの居心地の良さを求めて設計することが大切だと思います。
次回は、
B:自然豊かで牧歌的な環境 > 屋外の環境・借景を捕りこむ
C:自然豊かな環境での住宅団地(A . Bの中間) > 近隣との関係をつくりながら借景を捕りこむ
の事例をご案内します。
向井一規建築設計工房 2019.6.11