「L」

L

岐阜県土岐市の幹線道路沿いの交差点の角に建つ住宅。L字の敷地に対して様々な高さを持った居場所の箱がL型に連なることで、多様性のある住空間を獲得することを考えた。 いつも敷地の特性・ローカリティをつかむことから設計の大きな手掛かりを得ている。 ここでは、L字の敷地形状・方位（L字の角が真北）・隣地からの日影・視線・交通量の大小などが特に考慮すべき点と感じられた。 北東側道路は交通量が多いため、騒音やプライバシーに配慮する必要があったので、道路面からセットバックし、交差点の角には開かれた庭を設け緩衝帯にするとともに街並みに潤いを与えることを考えた。

このL字の敷地形状に対し南隣家からの日影をチェックし最も影をつくる位置を避けるように建物をL型に配置している。またこの「L型」は、道路の喧騒から逃れた庭をつくることが出来、積極的に外部空間とつながることを意識している。 家族の主動線も庭に面してL字とし、そこに様々な高さの居場所（部屋）が連なり、道路側の外観に箱の連なりが現れている。 交通量の少ない道に設けたアプローチ空間は、屋根付きのゲート状の広場となっており、多用途（バーベキュー・子供の遊び場・雨の日のパーキング）に使える場として活用でき、庭と家と街をつなぐ役割も果たしている。 このような街へ動線が抜けて行く様なつながりは、土岐市という山並みが残った大らかな土地柄と施主の遊び心によるものだが、これも一つの東海らしさと言えるのかもしれない。 （TSC　Architects）