OTHERHouse in Yatomigaoka
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- 素材
- 暮らし方

「弥富ヶ丘の家」
House in Yatomigaoka
「視線をかわしながら開く」
名古屋市東部の北から南になだらかに傾斜する台地に建つ住宅である。敷地は南道路に対して約2.5
m程の高い土地。南には三階建ての集合住宅があり施主はプライバシー確保を望んでいた。しかし、
少し視線を南東方向に向けると隣家の緑や南垂れの地形のおかげで視線が抜ける場所が存在してい
る。そこで、「視線をかわしながら開く」にはどうしたら良いか考えた。視線の開く方向に単に開く
だけではプライバシーが確保できなくなるが、緑や樹木などの自然が作り出す振る舞いが、「心地良
く曖昧な境界」となることで、住まい手が緑を楽しみながら暮らし、街にも良い環境となる住宅を創
りたいと考えた。各室の開く方向は集合住宅と正対する配置を避け、建物を「く」の字に折り、ダイ
レクトな視線の交錯を避けながら視線が緑や空へと伸びていく計画とした。
「緑で囲む」
1 階のリビングは地階車庫の上を緑化した南庭とつながっており、建具をフルオープンにすると更に
北庭まで一体化し、緑を感じる居心地の良い「場」となっている。2 階バルコニーには袖壁にランダ
ムに吊るした緑化プランターを設けた。窓の前に広がる上下左右に配置した植栽たちは住民の目を楽
しませ、生活に彩りを与えると共に、集合住宅からの視線の緩衝帯となっている。このプランターは
全て自動灌水で賄われており、夏には日射を遮ると共に打ち水効果も期待できる。また、街からこの
住宅を見ると緑化駐車場、屋上庭園、プランターグリーンへとバーチカルな緑の連なりを感じること
が出来る。住人は何処に居ても緑を感じ、街にとっても立体的に連なった緑は良好な環境を作り出し
ている。
「プランターグリーン」
プランターグリーンは、普通ならば緑を感じることが少ない上階に住んでいても緑
を感じることが出来る。大きなボリュームの均質化したファサードにも彩りを与える事もできそうだ。
日本の住宅が均質化してしまい風情がなくなってきたと感じることがある。もちろん土地の広さや予
算等の問題もあるが、やはり自然と結びついた生活は人の心を豊かにするはずだ。これからも積極的
に生活と自然が作り出す振る舞いの濃密な関係を設計していきたいと考えている。
(TSC Architects)
TSCアーキテクツ
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